電車やバスで席を譲ろうとしたら座らなくても大丈夫だと断られたり、反対に自分が譲られて断ってみたり、良かれと思った行為も相手にとってありがた迷惑になるという事がよくあります。プライドを傷つけないように配慮する事も必要だし、本当に難しいと悩んでしまいます。親切でした事も親切の押し付けになりかねない世の中になってきてはいないでしょうか。先日テレビを見ていたら、人は与えられた役割によって行動などが変化する「役割効果」ということについて実証実験をしていました。映画スーパーマンに扮して役を演じる前と後でその人の行動が変わるのかという実験でした。スーパーマンを演じる前には、ベビーカーを持って階段を降りるのに苦労している人を見ても見ぬふりをしていましたが、スーパーマンを演じた後は、ベビーカーを運んであげたり、ひったくりにあった人がいれば犯人を捕まえたりと困っている人がいたら即座に手助けをするようになっていました。役割を与えられると役割を無意識に果たすようになるのだそうです。確かに会社などにおいては立場が人を作るとも言います。会社の社長さんになれば社長さんらしい振る舞いをしなけばならないし、それらしい振る舞いができるようになるんじゃ無いでしょうか。私もお寺の住職と保育所の理事長という立場で毎日を過ごしていると、お会いする方も私のことをそういう立場にいる者だとして応対してくださるので、私も自ずとそんなふうに振る舞う事ができます。しかし実際の私の中身なんか世の中の肩書きとはかけ離れています。にも関わらず皆さんは肩書きも基づいて応対してくださいます。まことに申し訳ないなと思いつつ毎日過ごしています。「役割効果」の実証実験を見て日常生活の中で、私は人として困っている方がいればお手伝いをするという基本的なことが実践できているだろうかと振り返ってみてもお粗末な私の姿しか見えてきません。ベビーカーを押しながら階段で困っている人がいるとしても、そばに駆け寄り「お手伝いしますよ」の声掛けが出来ないかもしれません。お手伝いをしてあげようと思ってもその行為が仇になる事もよくあります。しかしだからと言ってお手伝いはしないとはなりません。困っている相手の方の立場になって気持ちを推察して行動するそんな勇気を持ちたい。照れや恥ずかしさ色々あるけれど本当に困っている人が目の前にいるならば、まずは勇気を出して積極的にコミュニケーションを図っていきたいと思います。そんな小さな勇気が受け入れられる人間関係、世の中であり続けなければいけないですね。相手の事を思っての行為は報われなければいけない事だし仇で返されてはいけない事。ありがとうと喜んで受け入れてもらえれば、私も小さな勇気を持つ事ができるようになれると思います。 なんまんだぶ
今月のことばについて
「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。