2019年2月

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 これまで生きてきて耐えられないほどの「寒かったぁ~」という記憶がいくつかあります。その寒さは防寒をしていても絶対的に気温が低い時の寒さと、気温はさほど低いわけではないけれども体感的に寒いと感じた記憶のふた通りがあります。子どもが小学生の頃スキーのレーシングチームに所属していました。だんパラスキー場で週2回ナイターで練習をしていました。日中ならいざ知らず夜間のスキーの寒さはこたえます。道内では比較的気温の高い室蘭でも、夜の山の上のスキー場はマイナス15℃くらいになります。それに風がつくと体感温度はもっと下がります。そんな中約2時間練習をしていました。子どもたちが練習をしている間、私もゲレンデを滑っているとコーチが色々と教えてくださるので月謝を払わずにスキーを習っていたようなものでした。滑っているときは体を動かしているのでまだいいのですが、リフトに乗って登っているときはこれが辛い。練習が終わると必ずコンビニに寄って肉まんを買って帰るのが楽しみでした。冷え切った体に暖かい肉まんは最高でしたね。もうひとつ今でも忘れない寒さが高校時代の話です。広島の寒さなんて大したことないでしょうと思われるかもしれませんが、今でも忘れないあの寒さとは高校時代ラグビーをやっていた時の話です。監督にラグビーは紳士のスポーツだと教えられました。あんなに激しくぶつかり合って、人を倒して踏みつけてどこが紳士のスポーツだとも思いますが、実はどんな天候でも日時を決めたら必ず試合をするので紳士のスポーツなんだと教わりました。あれは真冬の雨の中での試合でした。ずぶ濡れ、泥だらけになっての試合でした。濡れないだけ雪の中での試合の方が暖かいのではないかと思います。スクラムやモールがとけると湯気があがるそれほど寒い試合でした。体はガタガタと震え、あげくの果てに腹筋までもが痙攣を起こしていました。どんなに走ってもしんどい辛いという思いよりも寒いという感覚が優っていたように思います。今思い出してもお腹がピクピクしそうです。試合後入ったお風呂は温かかった。

 今月の法語「寒さの中であたたかさのよろこびを知らせてもらう」暖かいというのは心身ともに楽ですよね。暑さ寒さも彼岸まで言われるくらいですから季節でいうと春や初秋が一番過ごしやすいですよね。夏は近年暑すぎるのであまりよろしくないですね。しかし、一年中春や秋口の気候だったら、暖かいとは感じないでしょう。毎日が過ごしやすい環境ですから、その事にありがたいとは感じないし気付く事が出来ないでしょう。寒さを知っているから暖かいとわかる。寒い日があったから暖かい日を感じる事ができる。寒いと実感する事であたたかさの有難さを知る事が出来る。寒いから暖かい事がよろこびと感じる事ができる。それでは「寒さ」を「虚仮不実」に置き換え「あたたかさのよろこび」を「真実まことに出遇わせていただくよろこび」に置き換えてみる。『虚仮不実の中で真実まことに出遇わせていただくよろこびを知らせてもらう』嘘偽りの世界の中で、まことのよろこびを知らせてもらう。悩み苦しみの多い人生ですが、真実まことに出遇えば苦悩の人生も渡っていける。逆を言えば、寒さとは暖かさで気付く事。 なんまんだぶ

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