2016年8月

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 毎年七月二十九日、三十日の一泊二日で「真宗サマーキャンプ」としてお寺でのお泊まり会を開催しています。途中で一年だけ休みましたが、もう三十年近く続けている行事になります。保育所を始めてからは卒園児がたくさん参加してくれるようになりました。今年の参加者はほとんどが卒園児だったのでさながら同窓会のようでした。一年に一度元気な成長ぶりを見せてくれることが嬉しく楽しみになっています。保育所の年長児も小学生や中学生といった年齢の離れた子たちと過ごす事で学ぶ事もたくさんあったのではないかと思います。たった二日間ですが大きく成長する二日間です。年長さんから中学生まで一班七名から八名のグループになり集団生活をするので、普段はなかなか触れ合う事のできない年齢差の交流をしますので、大きな子は小さな子の面倒をよく見てくれます。また小さな子は大きな子の言うことをよく聞きます。しかし時間が経つにつれてわがままが出てきたりもします。すると大きな子は小さな子に言う事を聞いてもらおうといろいろと努力しますがなかなか思うようにはなりません。言葉たくみに言う事を聞いてもらおうと誘うのですが、うまく相手の心をつかむ事が出来ないんであります。相手にこちら側を向いてもらうには、相手のニーズにかなったものを提供しなければなりません。
 今年の秋にはアメリカの大統領選挙がありますが、大統領候補者の演説は聴衆の心をつかむ事が要求されます。これまでの歴代大統領のスピーチには数々の名言がありました。それらは相手が何を欲しているのかを汲み取り、その要求に答える魅力ある言葉を投げかける事で民衆の心を確実につかんでいます。相手の心をつかむためにも相手が何を欲しているのかをしっかりと汲み取らなければ相手からの同意など得られません。時間が経って打ち解けあった子供同士の関係性の中で、大きな子が小さな子に言う事を聞いてもらうためには、小さな子がいま何を思っているのかと相手の事を思いやり、何をしたいのかという事をしっかりと汲み取り受け入れて、相手の思いを受け止めて、自分の思いとの間で調整をはかり、どうする事が良いのかを判断して、言葉や行動に移していくことになります。そうして小さな子は自分の思いを受け止めてもらったと満足し、大きな子も円滑に目的を達成する事が出来ます。二日間のお泊まり会も小さな子がわがままを言い駄々をこねるという場面はありませんでした。大きな子たちがスッタフに愚痴をこぼすこともありませんでした。相手を思いやり、受け入れ、受け止めることの大切さについて、子供たちを見ていて私はどうなんだと振り返ってみるとお粗末な姿が見えてきました。日暮らしの中で親しければ親しいほど、思いやる、受け入れる、受け止める心を忘れがちになっているなと改めて気付かされます。自分の思いを伝えことばかりに、専念しているお粗末な姿が見えてきました。     
      なんまんだぶ
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