2023年04月のことば

大きな 大きな しあわせのどまんなか

202304s.png
 新年度が始まりました。北海道にも春がやって来た感じがします。しかし、本州とは気候も気温も違うから春の受け止め方というか、イメージが違うなと言うのを北海道に住むようになってからずっと感じていました。例えば先月の春のお彼岸といえば、私が生まれた広島や、京都では桜が咲きはじめる季節、洋服の色も明るめになり薄着になっていく時期です。一方、北海道は雪が降らなくなる時期、氷点下にならなくなる時期といった感じではないでしょうか。今年は特に寒さが身に染みる年だったように感じました。年々寒さに耐えられなくなって来ているなと思います。防寒用のアウターは、とにかく暖かいものを選び見かけよりも実益を取るようになりました。前々から気になって欲しくて仕方ないダウンジャケットをこの冬ついに買いました。高かったですが、極寒の中でも寒くなく本当に暖かくてびっくりしました。こんな小さな幸せを感じた出来事がありました。春四月に冬の話で失礼しました。
 コロナウィルスの感染防止対策も大きな転換期を迎え、コロナ以前のようなお花見も再開し、気の置けない仲間と酒を酌み交わしながらの時間は、贅沢で幸せな時間と言えるのではないでしょうか。また、若い頃はお腹いっぱい焼肉が食べられると幸せを感じましたが、いまならお腹いっぱいお肉を食べられなくても本当に美味しいお肉が味わえれば幸せだなと感じます。幸せの感じ方、受け止め方は人それぞれであり、自分自身の中でも時と場所、環境や条件でコロコロ変わるものです。美味しいものを食べたい。大好きなことに没頭したい。次から次へと湧いてくる欲望を満たすために、毎日頑張って思いが充足されれば幸せだなと感じ、願いが叶えば嬉しくなり喜んで、叶わなければ嘆き悲しみ、愚痴を言い不平不満だらけの日々を送る。私が幸せを願うという行為が、そのまま私の中で苦しみを生み出しています。その構造こそ「煩悩具足の凡夫」と言われる所以でしょう。どこまでいっても消えることのない煩悩の炎、ひとつ満たされればまた新たな欲望が芽生えてくる。次から次へと湧き出て来ます。親鸞聖人は「『凡夫』といふは、無明煩悩われらが身にみちみちて、欲もおほく、いかり、はらだち、そねみ、ねたむこころおほくひまなくして、臨終の一念にいたるまで、とどまらず、きえず、たえずと、(一念多念証文)」と、死ぬまでたくさんひっきりなしに繰り返されると示されています。貪りや怒りや愚痴を無くすことが出来ない私が、その悩み苦しみを超えて生きることが出来たならどれほどの安らぎを得る事ができ幸せを感じる事ができるだろう。自分の都合で生きているにも関わらず、そんな私がゆるされて生かされていると気付けたなら、そこが大きな大きなしあわせのどまんなかではないだろうか。手で捕まえたしあわせはすぐ消えちゃう。消えないしあわせがいいな。  なんまんだぶ
 
今月のことばについて

「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。

≪ 前月のことば |  HOME  |   次の月のことば ≫

ホームへ
寺の概要
今月のことば
ブログ ブツブツ相念
お問合わせ・連絡

アーカイブ

年・月別アーカイブ