いつになってもなくならない児童虐待のニュース。日本において一年間で虐待により亡くなる子どもの数は約50人だそうです。一週間に一人の子供が亡くなっている計算になります。テレビや新聞のニュースに載らないものがたくさんあると言う事になります。亡くなる子どもの多くは1歳にもならない幼い子どもたちです。虐待は実母や実父によるものが多く、保護者が一人もしくは複数で行っていたりと様々のようです。厚生労働省は、虐待かなと思ったらすぐに児童相談所へ通告、相談ができる虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」を設置していますし、ホームページを見ると児童虐待について詳しい説明やデータが載っています。子育てに直接関わるような年齢になってくると、それまではあまり気にかけることがなかった私ですら気に留めるようになってきます。児童虐待なんてそんなのテレビや新聞のニュースの話し、遠いところの出来事くらいに感じていました。
虐待の当事者は「躾のつもりでやった」「殺すつもりはなかった」「死ぬとは思わなかった」ニュースでよく聴くワードです。躾とは、親が子どもに世の中の役に立てる人になってほしい。人から慕われる人になってほしいと願いを込めて、美しさを身につけられるように教える事だと思っていましたが、虐待をする大人は、優位な力関係において威圧的に支配し従わせる行為をしつけと呼びます。言う事をきかせ思うように子どもが操れると考えているんでしょう。悲しい事に幼い子どもにとって親とは絶対の存在です。子どもにとっては親が自分の世界の全てなんです。自分を育て守ってくれる存在だから嫌われない様にしようと頑張るんでしょう。どんなに虐待を受けてもそれが虐待だとは思っていません。その環境しか知らずに育っているわけですから。自分が怒られるのは自分が悪い子だからなんだと思い込む。親に褒められる様にしなければと苦しみ、親の都合の良い子どもになれる様に努力するんですね。虐待をする親の多くも子どもの時に虐待を受けた経験を持つ人が多い様です。自身の育てられた経験しかなければ同じ事をしてしまうでしょう。仕事が忙しく疲れ果てて家に戻り、それから子どもの食事を作り、家事をこなして一息つくこともできない毎日を過ごし誰も助けてくれない。子育てなんかもう無理やってられないと育児放棄をしたくなる気持ちも理解できない事もない。精一杯頑張っているのに、世の中の人はもっと頑張れ、あなたがしっかりしなさい。おなたは親なんだからと言い放つ。もうこれ以上頑張れないくらいに頑張っている人に頑張れと声をかけるのは酷な話しです。頑張っているね。少し休んだらもうひとりで頑張らなくて良いよと、支えられたなら少しだけ休んでまた少しだけ頑張れる様になると思いませんか。虐待の負の連鎖を断ち切り尊い命を亡くさないようにする。今を生きる大人の私たち全員の問題であり課題ですね。情報化が進み人の移動も複雑化し、人と人の関係性も対面しての関係性だけではなくネット上でのみ繋がりどんどん複雑になっていく世の中ですが、子育ては人の温もりの中でアナログで育まれるものです。 なんまんだぶ
今月のことばについて
「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。