2020年07月のことば

力をぬいたとたん世界がひらける

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 『偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)』漢字の「偏(へん)」は左側「旁(つくり)」は右側「冠(かんむり)」は上「脚(あし)」は下、それに「構(かまえ)」「垂(たれ)」「繞(にょう)」などの組み合わせで漢字が出来上がっている事がわかると字が出来上がってくる過程が想像できたり、意味を理解しやすくなりませんか。偏旁冠脚という言葉がある事を恥ずかしながら初めて知りました。最近、温泉のホテルのコマーシャルで漢字を分解したり、組み合わせたりして温泉に入りたい気分に誘うコマーシャルが流れています。忄(心)りっしん偏に亡くすと書いて「忙しい」。心を亡くすと書いて「忘れる」どちらも心ここにあらずの状態ではないでしょうか。ものごとに追い立てられて、自分を見失い、意識していた事柄を思い出せなくなるといった状態。現代社会にはよくあることではないでしょうか。コロナウィルスの蔓延で在宅勤務という労働スタイルが確立されつつある様ですが、これも一見すると労働しやすい環境になり、いいことの様にも思えますが、どんなにコロナが蔓延して大変な環境の中でも働かなければいけないということが大前提になっていませんかね。恐ろしいウィルスがはびこっているんだから人類が安全にコントロール出来る様になるまでは自宅でおとなしくお休みしていましょうということにはならなかったですね。自宅にいても働ける。働かなくては経済活動を保つことができなくなる。快適で清潔な生活の維持のためにはそうしなければならなかったのもわかってはいるつもりです。そして、今の世の中は情報が溢れていますね。手に入れたい情報はなんでもすぐに手に入れる事ができます。しかし、ある程度自分の中で必要な情報とそうでない情報の整理をつけておかなければ、私の処理能力を超えてパンクしてしまいそうです。忙しく我を忘れた私にいとも簡単になってしまえる現代社会。しかし、頑張らなければ世の中から取り残されてしまう。そんな脅迫観念と戦わなければ勝ち残っていけない世の中というのはいかがなものでしょうか。子育てをとって考えて見ても、子どもには世の中から軽蔑されるより尊敬される立派な大人になって欲しいと願います。同じ年の子より成長が少し遅いだけでも大丈夫だろうかと気を揉んだりします。勉強は出来ないよりは出来た方が良い。親としての期待と願いを勝手に押し付け、ガンバレ!ガンバレ!あなたのためだと理由づけしているのが私です。この理由なんて、親としての責任を果たしているんだと世間体のためだけ、子どもに命令していただけじゃないですか。いま振り返ると、申し訳ない子育てをしていたと反省します。子どもが自立した今なら、もっとこんな育て方だできたんじゃないかと思う事がいっぱいあります。子育て完了という力が抜けた今だから見えてくる世界、ひらけてくる世界がありますね。そんなに頑張らなくてもいいんだよと言われている気がします。そのままでいいじゃないですかと言われている様にも思えます。リラックスしてそのままで生かさせてもらいましょう。
     なんまんだぶ
今月のことばについて

「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。

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