2020年06月のことば

家にこころの灯を

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 『三権分立』は「司法権」「立法権」「行政権」が互いにチェックし合う制度ですが、最近、行政権がバランスを崩しているとしか見えないのは私だけではないでしょう。検察官の定年延長問題や検察庁法改正の問題は、どう見ても行政がやりやすい人を配置できてしまう危険性が大きい大変な問題ですね。そしてこれから注目しておかなければいけない事として、「桜を見る会」の前日に安倍首相の後援会が主催した夕食会をめぐり、公職選挙法違反の疑いで東京地検に法律の専門家の弁護士や法学者662人が告発状を出したことですね。さて、検察はどう動くんだろうと目が離せません。しっかりと三権分立が保たれているのか見守っていきたいと思います。きちんと筋の通った世の中であって欲しいものです。

 保育所を運営していると役所からいろいろな連絡がきます。お知らせのメールには「◯◯法△△条□□項により」と書かれています。全て法律によって行政運営が進められていることがよくわかります。最近はコロナ対策についてのメールが多いですかね。コロナウィルスの蔓延であらゆることが自粛になる中で、結婚式を延期した方も多いのではないでしょうか。私の周りにも披露宴を中止したり延期した人がたくさんおられます。ふたりで華やかなスタートをきって欲しいと思いますが、できない今の現状をのちのち振り返って、結婚式もままならない状態でスタートしたけれど、今では確かな歩みを進められているねと振り返ることができるといいでですね。中島みゆきの「糸」という歌に、ひとりではフラフラ迷ってしまい出来ないことも、ふたりで人生を紡いでいけば素敵な布が織り上がり、その布が誰かを暖めたり傷をかばうかもしれないという歌ですが、縦軸と横軸が交差することでしっかりとした面が出来上がり人生を共に歩んでくれる人との出逢いの尊さの歌でしょう。しかし縦軸と横軸の方向はどの様に見極めればいいでしょう。斜めになっていないだろうか。ころころ毎日自分の向かう方向が変わっているにもかかわらずその事に気付いていない。そんな私にきれいな布は織れません。自分の方向をきちんと教えてくれる明かりが無ければ歩みを進めていく事は出来ません。お釈迦さまの最後の説法で「自灯明 法灯明(自らを灯火とせよ、法を灯火とせよ)」と説かれました。私を生きる事が出来るのは私しかいません。誰も変わることの出来ない私の人生は、自らを頼りとして、法を頼りとして生きなさいと説かれます。いま周りにいてくれる人ともやがては別れて行かなければなりません。誰も私を変わってはくれません。せめていつまでも一緒にいたいと思っていてもままならない。移り変わっていく世界だから。いまのこの出遇いを精一杯大切にしなければ申し訳ない。「家にこころの灯を」といわれているのは、仏法に照らされた日暮しの大切さ。私の歩むべき道を照らしてくれる仏法の大切さ。形で表せばお仏壇のある家と言うことではないでしょうか。最近、若い時には感じなかった五十代の仏法の味わいを感じます。このさき歳を重ねるのが楽しみになって来た今日この頃です。

灯を消しちゃうと道に迷う。

     なんまんだぶ

今月のことばについて

「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。

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