2014年12月のことば

しあわせな人とは 背中にたくさん「よろこび」を貯えている人

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 先日、胆振管内の本願寺派寺院のご門徒さんを対象に来年度開催予定の連続研修会実施に向けての研修会として『真宗セミナー』が開催されました。その研修テーマが「あなたにとって幸せとはなんですか?」でした。さてさて、私にとっての幸せとは何だろうかと考えてみようと思います。よく皆さんがおっしゃることです。健康が大事、健康は幸せな事。長生きができる事。お金持になる事など。また幸せを実感する時としては、周りから頼られているなと感じる時。ご飯をおなかいっぱい食べた時。思う存分寝た時。などなど時と場合によって様々な幸せを感じることがあるでしょう。さて、その研修会はご門徒の皆さんがテーマに基づいて話し合いを進める中で考え方を深めていく研修になっているので、ご講師さんが話し合いのきっかけとして「死が不幸なら幸せな人生も不幸で終わる」という文章を板書されました。さぁどうでしょうか。私たちが日頃よく思い描く幸せの〈健康で長生きしたい〉というのは、それが何物にも替え難い幸せであるとするならば、死は何としても避けなければならない出来事になります。しかし、人類始まって以来いまだ死ななかった人は誰一人としていません。となると人生不幸で終わっちゃうということですね。確かにお葬式のことを「不幸がありまして」などという方もよくおられます。しかし私は「いい人生だった」と人生をよろこんで死んでいきたいと思います。では、死を不幸と思わない人生を歩むにはどうすればいいのだろう。背中にたくさんのよろこびを貯えるとはどういう事だろう。日々の暮らしの中で起こってくる事柄のひとつ一つが、これもよろこびだった。あれもよろこびだったと気付くことができる身となること。今まで見えていなかったものが見えるようになってくる。今まで感じることのできなかった事に感動することができる心に育てられる。そんな私にお育ていただくことではないだろうか。私はひとりきりでは生きていくことなでできない存在だった。多くのおかげにより生かされていたんだな。多くのご恩の中で生かされていたと知らされる。気付かされる。目覚めさせられる。そこに生かされているよろこびを感じることができ、全ての事に感動し、感謝し、貯えていく事ができるのではないでしょうか。先日インターネットで焼き鳥屋さんのポスターが話題になっていました。比内地鶏が風呂敷に包んだネギを背中にしょって「では、ねぎまになってきます」と旅立ち「あ、けさ産んだ卵も持ってこれば良かった」と言い、店に着いたら「どうもー、食材です」というシリーズになっているものでいろんな意見が交わされていました。いのちを物(食材)として見、価値が有るか無いで判断する生き方をするのか、命をいただきながらでしか生きながらえることができない私なんだと懺悔し感謝しながらの日暮しをするのか。それがよろこびを貯える人かどうか。幸せな人かどうかという事ではないのだろうか。
      なんまんだぶ
 
今月のことばについて

「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。

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