2017年10月のことば

この花は今しか咲くことができない この花は力いっぱい咲いている

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 10月に入ると北海道は紅葉の季節を迎えます。春から目を楽しませてくれた花も来年の春まではお休みの期間に入ります。夏の北海道は富良野のラベンダーや北竜町のひまわりとか、道内のあちらこちらでいろいろな花が咲き誇っていますね。と書いておきながら実は私は花には全くうといんです。私が間違えずに名前を言える花といえば、バラ、チューリップ、ひまわり、桜、ユリ、椿、梅とかかな。花を見て綺麗だとは思いますが、同じ種類の花でも一本一本花びらの形も違うし同じ色でも微妙に違っているのに、私はただ眺めているだけで一本一本の花に目がいっているわけではありません。皆さんもよく知っている童謡に「チューリップ」という歌があります。〈咲いた 咲いた チューリップの花が ならんだ ならんだ あか しろ きいろ どの花見てもきれいだな〉赤いチューリップも白いチューリップも黄色いチューリップもどの色のチューリップもみんなそれぞれにきれいだねと歌っていますよね。赤は赤のままできれいで、白は白いままできれいで、黄色は黄色いままできれいなんです。黄色は赤くなる必要もなく、赤も白くならなくていいのであります。逆に言えば、赤いチューリップは赤いチューリップにしかなれないのであり、赤いチューリップとして赤いチューリップを精一杯生きるんであります。私がジョージクルーニーにならなくてもいいんでありますが、男前の映画俳優になれたら世界中の女性にモテるだろう。男前って得だなという価値観でどうでもいいようなことを思ってしまう私であります。私は私のままで私を輝かせればいいのに男前がいいという価値観が働いてしまうんであります。『この花』はこの花でいいのであります。この花を力いっぱい咲けばいいのであります。『この花』はあの花だったらよかったとは思わないんです。今年の7月に百五歳で聖路加国際病院名誉院長の日野原先生が亡くなられました。先生は絵本「葉っぱのフレディ」をミュージカルで上演するにあたって企画、原案に携わられたそうです。大きな木の葉っぱとして生まれたフレディが春から夏を過ぎ秋、そして冬に落ち葉となっていくお話です。世界は常に変化しているし、変わらないものは何一つ存在しないんだということを教えてくれる絵本です。夏、フレディは一つとして同じ葉っぱがないことを知ります。秋には同じ木に生まれた葉っぱでも様々な条件でみんな違う色に紅葉することを知ります。やがて枯れ葉となって木から落ちて行く、みどりの葉から紅葉し、常に変化し続けていることを知り、ついに木から落ちていく時フレディは初めてがっしりとたくましい木全体の姿を見、自分がその木を育てる力に変化して行くことを知るというお話です。全てのものは変わり続けている。変化し続ける中で花が、きれいな花を咲かせるのも代わり行く姿そのものです。花がきれいに咲いている期間も限られた期間でしかありません。また、花が咲いてるから花ということでもありません。変化し続ける中で『今しか』花を咲かせることはできないんですね。常に変わり行く私の人生を私として咲いていこう。 なんまんだぶ
今月のことばについて

「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。

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