2013年02月のことば

本当の「話し合い」は聞き合うこと

 

 

 第二次安倍政権がスタートしてひと月が過ぎました。内閣支持率は結構高めで推移しています
が、これからTPPヘの参加、憲法改正、外交関係の改善などいつまでも人気取りの政策だけでは
済まされない政治的課題が山積しています。さて、どのような政治をすすめてくれるのでしょう
か。期待少々、危機感いっぱいというのが私の正直なところです。日本という国として、アメリ
カ、韓国、中国、ロシアといった国々は特に関係が深い国といえます。それらの国とは特に話し
合いを密にしなければならないでありましょう。しかし国と国との話し合いというのはどうして
なかなか課題や問題の解決が遅々としてすすまないのかなとイライラしてきます。話し合いの席
で何を話しているのか、自国の主張を押し通そうとするだけで、相手の主張は自国の主張と同じ
部分しか聞き入れないといったところではないだろうか。どこまで行っても話し合いは平行線、
利害が絡む事は特にそうですね。つぎに裁判での「話し合い」とは、何が正しいのか、何が本当
の事なのかをはっきりさせるための手法であって、訴えた側と訴えられた側が互いに自分の意見
を主張しあう中で事実をあきらかにしようとするものであります。そこには当然話し合いが基本
ですすめられて行くのですが、お互いの主張は対立した意見という事になります。自分の意見を
通すために相手の意見を論破しなければならない訳であります。そこには相手の意見を聞き入れ
るといった事はあり得ないのが裁判で行われる「話し合い」の中身といえるでしょう。
 では、「話し合い」=「聴き合う」世界とはどのような世界だろうか。小さな子どもがお話をし
てくれる時、比較的時間に余裕があればゆったりとうなずきながら聴く事が出来ます。しかし、
忙しい時に難しい人から難しい話をされた時には、ゆっくりとうなずきながらなんて聴き方は出
来ません。「ごめん、今聴かなきゃダメ?後でもいい?」となかなか聴けないものです。また、
ゆっくりと時間をかけて話を聞く事が出来る環境であっても、自分と違う意見の人の話にはうな
ずきながら聴くという事は難しいものです。拒絶をする。否定をするといった行為をとる時の話
は、聞き入れない。話を聴いた後にすぐさま「うん、でもね」と反論してしまうでしょう。逆に
話し手の意見を完全に受け入れる。相手を受容して意見を肯定する場合は、深くうなずいたり、
「うんうん、そうだよね」と相手に寄り添い同調できます。本当の「話し合い」とは、自分の意
見を持って議論する事だけではなく、自分の意見や考え方についてこれがベストの考え方だろう
か、もっと他の考え方や意見はないだろうかと、お互いに聴き入れる事が出来る状態をいうので
はないでしょうか。そこには対立も争いも存在しないお互いを尊重しあうという世界が開かれる
でしょう。しかし私にはこれがなかなか聴けません。気をゆるすが故に我を通してしまいます。
                                                                                                  なんまんだぶ
今月のことばについて

「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。

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