2015年11月のことば

「すみません」「ありがとう」「ごくろうさま」を大切に

15.11S.jpg

「すみません」「ありがとう」「ごくろうさま」を大切にした生活をしていますかと言われても意識して使ってはいないですね。会話の中で常套句のようにさほど気にすることもなく使っていることに気づかされる今月の法語ではないでしょうか。 

私は日頃「すみません」はあまり使わ無いようにしています。えっ、謝らないのと思われる方がいらっしゃるかと思うので弁明しておきますが、わたしは出来るだけ「申し訳ありません」「申し訳ない」というように心がけています。「すみません」は謝罪、感謝、依頼といった意味合いがあろうかと思います。「申し訳ない」は言い訳のしようがありませんという深い反省の意味合いで使っているつもりです。「ありがとう」は聞いていて心地よく感じる言葉ですよね。言われると嬉しくなる言葉です。言う方も言われる方も共に和やかになれる言葉ですね。さて「ありがとう」の反対語ってなんだと思いますか。お礼や感謝の言葉だから反対語は、大きなお世話だとか余計なことだということになりますか。「ありがとう」を漢字で書くと「有り難う」になります。「有るという事」が「難しい」と書きますから、なかなか無い事、という事は希に有るという事になります。その反対の意味にあたる言葉は「当たり前」という事になりますね。「有り難う」の反対語は「当たり前」で「有り難う」は「当たり前」じゃなかったんだと気付いた時に使う言葉という事になりますね。私たちが日常で「ありがとう」と言っているのは、こんな事は滅多にある事じゃない、あなたが私にこんなにしてくれる事、してくれた事はなかなかできる事ではない、ありがとう。という事ではないでしょうか。保育所の子供たちが「ありがとう」と言っている姿には心の底から気持ちのこもった「ありがとう」だなと感じます。しかし、大人の私が言っている「ありがとう」はいつしか儀礼的に成っているなと反省させられます。「ごくろうさま」とは労いの言葉です「お疲れさま」との違いなどもありますが、ご苦労をされた、してくださった事への感謝と労いの気持ちですね。まさしく「どうもありがとう」ではないでしょうか。

毎日の暮らしの中からこれらの言葉がなくなったら日常会話はどのようになるだろうか。会話として成立しにくくなるだろうし、人間関係はギスギスして殺伐とした雰囲気になってしまうだろうという事は容易に想像できます。これからを担う子供達に私たち大人が言葉の使い方を教えるのではなく、言葉の意味を正しく伝えていく事の大切さを思います。意味を知れば自ずと言葉に心が現れるのではないでしょうか。申し訳ありません言葉だけでは済まないほどの事ですというすみません。有る事難しのありがとう。そんなにご苦労をされたのですねという共感のごくろうさま。申し訳ありません(すみません)私はそこまで考える事なく使っていました。言葉の意味を知ってのありがたさ。改めて考えてみると自分のいい加減さが見えてきました。そんな私だから仏様にご苦労いただいているんですね。

    なんまんだぶ

今月のことばについて

「今月のことば」の挿絵とタイトルは、株式会社探究社および株式会社法蔵館で発行している
「ほのぼのカレンダー」から引用させていただいております。

≪ 前月のことば |  HOME  |   次の月のことば ≫

ホームへ
寺の概要
今月のことば
ブログ ブツブツ相念
お問合わせ・連絡

アーカイブ

年・月別アーカイブ