2017年1月

「こころの味」を 大切にする家庭

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 北海道に住んでかれこれ三十年が来ようとしている。あっという間だった。駆け足で過ぎてきたように思う。しかし、たしかに三十年はかかっているのだからぼうっと過ごした私でも色々な思い出はある。新年を迎えたばかりのこの時期の事でびっくりした思い出と言えば、年越しそばとおせち料理とお雑煮についてである。ところ変われば品変わるで土地柄というものは大いにありますね。大晦日の夕食からおせち料理を食べ始めるのが北海道の文化ですよね。しかし私が覚えているおせち料理といえばお正月の三ヶ日にお店も開いていないので作りおきしてあるおせち料理をいただくというものだと思っておりました。北海道では、おせちは大晦日の夕食から食べ始め、紅白歌合戦を見ながらお酒を飲んで、やがて紅白も終わる頃になると年越し蕎麦を食べ、除夜の鐘を聞きながらお蕎麦のつゆについでにお餅も入れてしまえぇとなって、略式のお雑煮までいただいてしまうのだそうです。これは私の友人から聞いた大晦日から新年にかけての過ごし方です。北海道生まれの皆さんは何かおかしいですか?変ですか?おせちは大晦日から食べるものじゃないですかという事になるのだろう。それを否定はしませんが初めて聞いた時には驚いた事を覚えています。ちなみにうちでは除夜会や修正会をお勤めするので北海道民の代表的な大晦日から新年の過ごし方はいたしておりません。次に、お雑煮についても各家庭によって味付けやお餅の形、餅も焼いてから煮るのかそのまま煮るのか、中に入れる具も色々と違いがあって大変興味深いですね。お雑煮はそれこそ一件一件全て違うと言っても良いのではないでしょうか。うちのお雑煮はお醤油味です。お餅は焼いておつゆに入れます。具は鶏肉、つと、せりになります。実家のお雑煮も醤油ベースでした。餅は丸いあんこ餅が入っていました。具には焼きアナゴの刻んだものが入っていました。最初はしょっぱいのですが、もちからあんこが出るとちょっとぜんざいぽくなります。私の実家でいつからそのような雑煮をいただくようになったのかは知りません。私は生まれた時から食べていたのですから。しかし、母が嫁いできた時はどうだったのだろうか、また、祖母が嫁いできた時はどうだったのだろうかと考える時。母や祖母の時代の食糧事情や趣向などにより若干の変化は起きていると思う。しかし、お正月のお雑煮というものを受け継ぎながら先人の思いやその土地に伝わる文化に想いを馳せる。いま私が存在していることの時間的なつながりや空間的なつながりについて考えてみる。多くのつながりの中で生きて生かされている事に改めて気づくことができる自分に育ててくれた家庭の有難さを思います。お金を出せば何でも手にいれる事が出来る世の中ではありますが、折に触れて私という存在を見つめる事を教えてくれた家庭の大切さを、私は伝える事が出来ているだろうか。こころの味を大切にした家庭を築いているだろうかと反省をするお正月です。      

     なんまんだぶ

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